理事長あいさつ

理事長あいさつ

NPO法人ぴーすふる絆のホームページをご覧いただきありがとうございます。
私が、NPO法人ぴーすふる絆の理事長を仰せつかることができ、みなさまとご縁を頂けたのもたくさんの方々からのお力添えのおかげと心から感謝しています。そして、これからご縁を頂く方々にも感謝いたします。
 当法人は、平成23年(2011年)3月11日に発生した、東日本大震災の復興を願い結成された「東日本大震災義援金 畑中千夏チャリティー・エレクトーンリサイタル実行委員会」が礎になり、同年11月16日に法人登記を経てスタートしました。同年9月25日に開催された東日本大震災義援金 畑中千夏チャリティー・エレクトーンリサイタルを実施するきっかけとなったのが、畑中千夏さんがその数年前に闘病生活の末、お父様を亡くされたことからの思いからでした。「父は病院のお医者さんから、ある程度余命についてお話があっていたから、とても辛くて悲しいことだけどその日が来るまで心の整理や覚悟が出来ていた。でも、大震災で亡くなった方たちの家族は一瞬で大切な方を亡くしてしまわれた。私に出来る事があれば何かしたい。少しでも力になりたい。」という、お話を頂いたのがきっかけとなり、その畑中さんの思いがひとりからふたりへそして多くの人たちに波及して大きな力になり、決してひとりでは叶えることが難しいけれど、それが実現出来たのだと思います。まさに、チャリティーのテーマ「~ひとりがみんなのために、みんながひとりのために~」でした。
約100名の実行委員のみなさまとプロのエレクトーン奏者である畑中千夏さんご本人のご尽力により、大牟田文化会館大ホールに満員となるみなさまにお集まりいただき、1,394,093円を日本赤十字大牟田支部を通じて義援金を贈ることが出来ました。
現在も全国各地で活躍されている畑中千夏さんに多くのことを学ばしていただき感謝しています。
 私が、ある会議を通じてお知り合いになった、医学博士の故碇浩一先生に勧められた「幼老共生」をキーワードに私たちはいろんな事業に取り組んでいます。「幼老共生」により、老いも若きも障がいがあろうがなかろうが、ひとりの人間として人生を幸福に生きる権利・義務があるというメッセージが込められています。碇先生は、人間は群れで生活する生き物なので、自分と変わっているひとすなわち群れの秩序を乱すものに対してそれを抑制しようとするのだとか、それが、いじめに発展したりする。だから、幼い子どもから高齢者が障がいの有無を問わずそれぞれの立場や役割を超えて支えあいながら人生を楽しむことが一番大切なことだと、引きこもりや孤立を防ぐことが人間社会の基本なのだと教えていただきました。
 ひきこもりというと、不登校の延長のように思う方もいらっしゃる方もいるかもしれません、なので「親のしつけが悪い」「若者にある特有の心理」という、考え方が生じるのかもしれませんが、私は、親のしつけの問題や若者にある特有の心理だけではなく、人間社会に問題が生じていることが根本的な問題なのではないかと考えるのです。日本の経済成長とともに子どもたちの生活も一変しました。川に遊び、虫を追い田畑を駆けまわった少年時代は、様々な情報機器やゲーム機に囲まれて、深夜まで塾やコンビニに往来する生活にとって代わり、物質的な豊かさの半面、人とひとの繋がりが希薄になってしまいました。また核家族化が進み、すでに子育ての経験がある親のサポートを受けながらの育児と違い、経験が少ない夫婦だけでの子育ては壁にぶち当たることも多く、大きな負担となり、ストレスから子どもを虐待するなどの事件に発展することもあります。
 碇浩一先生は、平成28年10月に享年71歳でお亡くなりになり、もうお会いすることは出来ませんが、何があってもぴーすふる絆の顧問は続けるよと仰って頂いたことに心から感謝しています。私たちの道しるべをいただいた偉大な先生でした。
 一人ひとりが大切な存在なのだから、自分の人生、自分自身を大切にしてもらいたい。いま、ひきこもりになっている人がいるのであれば、頑張らなくていいから、少しからでもいいので勇気をもって社会と繋がりを持ってほしいと考えるのです。
 ひとは一人では生きていけないということは、誰もがわかっていることだと思います。自立という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、私は、自立とは何でも自分で出来ることだとは思いません。自分が困っているときに「困ってる」、助けが欲しいときに「助けて」と誰かに言えることが、自立だと思います。当法人では、就労継続支援B型事業所を大牟田市と久留米市で運営しています。もし、社会への第一歩が一般の企業や地域のコミュニティなどでは難しい場合は、私たちに相談してください。あなたにあった支援方法を計画し、寄り添った支援を実施しますので、どんな方法でも良いので、ご一報くださいね。
 私は、当法人設立時は、副理事長として携わってきました。令和2年度より、前理事長今村太氏(現顧問)より引き継ぎ現在理事長を仰せつかっておりますが、たくさんの今村太顧問からの教訓がぴーすふる絆の事業内容に反映されています。
 当法人の機関紙(平成24年7月27日発行)に掲載された、今村太顧問の「本気の詩」を紹介します。

本気ですれば たいていの事はできる

本気ですれば 何でもおもしろい

本気でしていると 誰かが助けてくれる

人間を幸福にするために 本気で働いているものは

みんな幸福で みんなえらい

ひとは一人ひとり違う特性があると思います。ひとと考え方が合うところもあれば、違うところもある。私は、それでいいと思っています。でも、今村顧問がいつも言われる「ひとは自分自身の人生を幸福にする責任がある」ので、幸福になるために頑張らなくていいので、怠らないで欲しいのです。自分が選んだ道を後悔しないように、ひたすら幸福になるために日々怠らないように生きて欲しい。そのために、お話しできるひと、相談できるひと、一緒に楽しめるひととの縁を大切にして欲しいです。
 寝て暮らしても、自分のために働いても、人を幸福にするために尽くしても同じ一日。自分がひとや社会に与えたものが巡り巡って返ってくるのだから、いい影響を与えていきたいと考えています。

令和5年6月 
NPO法人ぴーすふる絆
理事長 山下 秀信